秋になると高校3年生の目がマジになったり,あるいはうつろになったりする。
今年の大学受験も架橋に迫ってきたなぁと感じる時期である。
特に文系ともなると秋になるとさすがに理科のことが気になりだす頃である。
というわけで,今回は文系の人がセンター生物基礎or生物を
秋以降から頑張って8割目指す勉強法とそのオススメ問題集を
高校生物教員としての目線から紹介しようと思う。
なお,直前対策はこの記事とは別に
こちらの記事でまとめたので,時間がない人はこちらも参考になれば幸いである。
はじめに:本当にセンター生物基礎or生物でいくのかを問う。
紹介する前に前もって注意事項について述べる。
まず,今回紹介する学習方法は,理系の生物選択は真似してはいけない。
これから紹介する方法はあくまでセンター試験対策と割り切っているためである。
所詮は付け焼き刃の知識。深く理解するために時間を惜しんではならない。
次に文系の人へ。
本当にセンター生物基礎or生物を選択して良いのかを問いたい。
あくまで個人的な意見だが,
センター生物基礎or生物ほど理科の中でリスキーな科目はない。
もし数学ができて,物理基礎も履修していたのなら
圧倒的に私は物理基礎を勧めたい。
物理基礎は計算こそあっても,決まったパターンがあるので
過去問から対策しやすい。
物理基礎ほどではないが,化学基礎も物質量の計算が9月の時点で
そこそこ理解できれば,冬までに8割は余裕だと思う。
それに比べて生物基礎or生物は新課程になってから日も浅く
どんな問題が飛び出すか想定しづらい節がある。
また,国語の現代文以上の読解力と論理的思考力がなければ
問題文をそもそも理解できない。
それでも生物基礎or生物を取るのか?
その覚悟ができたら次を読んでほしい。
まずは科目の全範囲を30日で網羅して6割を目指す。
覚悟ができたら,まず生物or生物基礎の全範囲を30日で網羅的に学習し
高校生物に関するすべての知識に触れよう。
センター生物基礎のオススメ問題集は,
本命が数研出版の大森茂樹著『30日完成!試験対策生物基礎』
対抗が旺文社の大森徹著『みんなのセンター教科書 生物基礎』
この2つは僅差なのだが
「網羅する」という点ならチャートの方がオススメできる。
秋以降とは言っても10,11月スタートならセンター教科書もアリ。
文系注意!やってはいけない勉強法。
先ほどの2冊はともに30日程度ですべてできるようになっているが,
ここで重要なのは「完璧な暗記を目指さないこと」である。
文系にありがちなのは,1つ1つの単元を丁寧にやり過ぎてしまい
確実に「暗記」することを目指す挙句,30日で終わらないパターンである。
これは最も良くない。
すでにセンター試験まで5ヶ月を切っている状況で時間の浪費は最悪である。
まして他の教科の勉強もある。
センター試験は合計点でなんぼの受験。生物にこだわる意味がそもそもない。
「6割目指す」というのは,言い換えれば「まだ4割は間違える」ことでもある。
それよりも,まずは全体を網羅することで知識に触れることを優先しよう。
生物学は主にスケールの違いで専門分野が分かれている。
逆に言えば,スケールが違うだけで,見ているものはほぼ同じでもある。
代謝(呼吸や光合成)は,生態系の物質移動(炭素循環)と関連している。
全体を網羅し把握すると,このような違いに気がつくことができるだろう。
受験で言えば,これはダブり。一緒くたに学べば時間短縮につながる。
センター生物なら『リードLight』一択か。
さて,ここまではセンター生物基礎の話だが,
知識のタブりと言うなら,生物はもっと多い。
だからこそ網羅する重要性はさらに高くなる。
ここでオススメなのは数研出版の『リードLightノート生物』
個人的にはこれ一択かなと思っている。
ノート指定なのは,直接書き込めるからである。
秋になって生物の知識をノートにまとめるなんて,時間の無駄でしかない。
さっさと書き込んで問題を解いていったほうが良い。
また,当然暗記できていなければ書き込むこともできないわけだが,
教科書,解説,図解などをいっぺんに開いて
書き込みながら整理していくと良いだろう。
リードLightノートを30日でやるのはだいぶ骨が折れるが,
理科の基礎なし1科目1点突破ならここまでやりたい。
6割の知識を身につけたら,8割のために赤本に取り組む。
30日で6割の生物知識を身につけたら,
その知識を実践で使えるように,さっさと赤本に取り組もう。
センターの模擬試験をやる12月まで,ひたすら繰り返し解くと良い。
繰り返し言うが,
これは知識を実践(つまりセンター試験)で使えるようにするための操作。
30日で生物基礎or生物の知識をすべて暗記することは無理だが,
一度触れていれば,必ず記憶のどこかで引っかかっている。
ここから実際の問題に触れながら「使いどころ」を知り
知識を関連づけていく作業を行うと良いだろう。
この段階では,問題の解説を読んで振り返る時間を大切にしてほしい。
赤本の解説だけでも良いが,
できれば教科書や『田部の生物基礎をはじめからていねいに』などを使って
誤答問題の範囲を読んで整理しよう。
※センター生物では今の所読み物系参考書でオススメできる本が特にない。
このアウトプットとインプットの繰り返しが重要である。
時々文系の中には,教科書や『田部の…』をひたすら読んで
暗記しようとする人がいるが
それではいくらたっても実践で使える知識にならない。
ケータイの説明書を熟読してもケータイを使いこなせるわけではないのと同じだ。
おわりに:最後まであきらめないこと!!!
文系の場合,この理科や社会の対策をする時にこそ
精神的には最も脆くて弱くなりやすくなる。
人によっては理科を捨てて私立大学1本に絞りたくもなるだろう。
そうしたいという気持ちをぐっとこらえ我慢してほしい。
最後まであきらめないことが,最も確実な入試の極意だ。
これは大学入試の分析を見ても明らかで,
試験科目の少ない入試方法ほど倍率が高くなりやすいのである。
早い話,全国の高校生のみんなも楽な道に転がりやすい。
それが結果的に高倍率を生み,狭き道を作ってしまう。
あきらめると,不合格のリスクも高まるのだ。
文系の皆さん,ぜひあきらめず最後まで生物を取り組んでみてくださいね!