本日の題名から出落ちなのだが,
『大富豪が実践しているお金の哲学』という本は
「哲学」ではなく「マインドの持ち方」という捉え方をするのであれば,
お金を出して読む価値はあると私は思う。
まず「お金」についての捉え方を変える。
人生において役立つ知識というのは色々あるのだが,
自分自身の専門的知識を深化させるだけが学びではない。
ヒトの構築したこの社会で生き延びるためには,
社会の仕組みを知るのが最も合理的であり,
そのためのは価値の等価交換を可能とする媒体物である「お金」について
知ることが手っ取り早い。
しかし「お金」というのは,とかく日本人にとっては
デリケートで倦厭されがちなトピックだと捉える節がある。
だからこそ,まずはそういったステレオタイプを一旦脇に置いて
お金についてのマインドの持ち方を変えるというのは一定の価値がある。
『お金の哲学』は,
年収億単位を「大金持ち」,2000万以上を「小金持ち」,
それ以下を「一般の人」と仮において,その特徴を簡潔に述べながら
大金持ちの考え方,そのマインドを説明し,
お金の捉え方の違いを分かりやすく比べている。
この手の本ははっきり言って珍しくない。
特に有名なのは2000年に出た『金持ち父さん貧乏父さん』だろう。
2013年にはその改訂版も出版されている。
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
ただし,『金持ち父さん貧乏父さん』の弱点をいうなら
翻訳本のため,独特の読みづらさがあるということだろう。
また,日本の情勢についてもそれほど熱心に書かれてはいない。
『お金の哲学』の場合,NISAや日銀のマイナス金利にも触れているので
タイムリーな話題にも触れている。
金融や資産運用についての入門書なので,
やはり比較的新しい本から読み始めるに越したことはないだろう。
おわりに:もう少し読みたくなったら他の書籍にあたってみよう
それほど長い本ではないので,さらりと読むにはちょうど良い本であった。
金融に限ったことではないが,一見難しいと思われるトピックほど
このように入門書としての本があるのはありがたいことであり,
著者の冨田氏や編集の方の工夫を垣間見ることができる。
ただし,入門書はあくまで入門のための本である。
これをきっかけにより深く学びたければ,他の本を当たるのが良い。
そのような架け橋となることを期待したい。