私の知る限り,Evernoteの使い方は人によってかなり異なる。
クリエイティブな人にとっていろんな使い方ができるツールは便利だが,
そうではない人にとっては,結局のところ,どう使っていいか分からないことも
珍しくはないだろう。
だから,時には
「みんなEvernoteにどんなデータを保存しているんだろう?」
などと気になったりするものである。
私自身もいろいろEvernoteにはデータを保存しているし,
その多くは自分の専門に関するアイデアが多い。
ただし,それ以外にもちょっと変わったデータも一緒に入っている。
おそらく自分の中で一番風変わりなデータは「おみくじ」だ。
おみくじをスキャンし続けて早5年。
毎年1月1日,日付変更とともに必ず初詣に行く地元の神社がある。
私がデータ化して保存しているおみくじは,そのとき引いたものである。
勝手な思い込みだが,その神社で引くおみくじは
妙に予言じみていて,真をついてくる感じがある。
そこで,自分への戒めとして,時々Evernoteを開いて読み直す。
特に7月といった,年も後半になるような時期にはよく行う。
おみくじを引いた後,読んで木に結んでしまったら
二度と内容を参照できない。
と言うより,
そもそも何度も参照することをおみくじは想定されていない。
人によっては持ち帰る人もいるだろう。
けれど,大抵どこにアレを保存しているのだろうか。
財布の中,名刺の中,引き出しの中,手帳の中・・・いろいろ考えられるが,
おみくじの紙は丈夫なものが使用されていないので,
印字がかすれたり破れたりすることもある。
結局,劣化してしまうことが嫌になり,
それからというもの,1月1日の初詣でおみくじを引いたら
その場でScansnapで保存して,木に結んでくるのである。
だから初詣の日は車の中にいつもScansnapがある。
参照したくなる情報は合理的である必要は必ずしもない。
最初にも述べた通り,
Evernoteはクリエイティブな人に向いているツールである。
保存したそのとき,必ずしもそのデータがあとで役に立つと
はっきり分かっているとは限らない。むしろ,分からないことの方が多い。
あとで他の資料と重ねて参照したときに
アイデアが浮かんでくるのである。
まとめたいアイデアが何か発表の伴う論文や資料の場合なら
参照したいデータは初めから合理的であるに越したことはない。
けれど,人生や将来といった,
もっと漠然としていて,ふわふわしていて,不明確なものに対しては,
必ずしも情報が合理的である必要はない。
おみくじはそういうタイプのデータである。
信じる,信じないは,自分次第。
ただ,ふと振り返ったとき,何か自分の中に変化が生まれれば,それでいい。
そうでなくても,お正月に新年の抱負を考える人は珍しくないだろう。
ときにはそういう自分の目標や生き様に対してメタ認知する機会は必要だし,
Evernoteはそういうとき利用するには結構適したツールだと私は思う。