こんにちは!uru(@uru_)です。
学校教育では「アクティブ・ラーニング」という言葉とともに学校図書館(いわゆる図書室)による学習環境デザインの改善についても徐々に注目を集めています。
しかしその一方で、学校図書館の管理・運営すらおぼつかないという学校もあります。特に蔵書管理のデータベース化では、小中学校なら10校中3校,高校でも10校中1校の割合で電子化されていないのが現状としての問題として横たわっています。詳細は前回の記事を参考にしてください。
図書や資料の管理は学校図書館を単なる本棚の部屋から学習の部屋へと変えるための重要な第一歩です。そして、そのためにはまず準備が大事なのはいうまではありません。
そこでこの記事で紹介したいのは「Win書庫V4」と呼ばれる学校図書館用蔵書システムです。無料のアプリケーションでありながら、今尚更新し続けられている稀有な存在です。ただし、あまりにニッチなシステムでもあるため、システム構築の詳細については公式のマニュアル以外に参照できるものがありません。
そこで、この記事ではWin書庫V4を構築するための方法について、特に機材の準備について紹介します。
Win書庫V4のハード面での準備
Win書庫V4を準備するためには、兎にも角にもハードウェアを用意する必要があります。公式マニュアルによると、必要なものは次の4点です。
- パソコン
- バーコードリーダー
- プリンタ
- バックアップ用ハードディスク
パソコン+液晶モニター
パソコンについてはマニュアル通りなら次のようなスペックが必要です。
- CPU要件なし
- メモリー2GB以上(推奨4GB)
- ハードディスク 空き容量1GB以上
- モニター17インチ以上(推奨19インチ以上,タッチパネル対応)
2017年時点で、この要件を満たしていないパソコンを探す方がむしろ大変です。「モニター17インチ」とありますが、図書室に設置することを考えると必然的に持ち運びできないデスクトップパソコンの一択になると思いますが。デスクトップでモニター17インチを探す方がかえって難しいでしょう。
あと、ハードディスクについてはWin書庫V4をインストールするハードディスクをOSのインストールされているCドライブ以外を推奨していますが、これも、もし図書室据え置きのデスクトップパソコンでの運用を想定し、他の業務に関するアプリケーションを使うつもりでなければ、Cドライブ単体でも問題は少ないでしょう(ただしバックアップは必要)。
要するに、パソコンのスペックについてはほとんど気にする必要がありません。
Dellなどの価格の低いデスクトップパソコンで十分です。買うタイミングにもよりますが、50000円前後で収まるでしょう。
ただし、スペックが要らないからといって中古パソコンの購入は勧めしません。一度図書室においたら通常のパソコンより運用期間が長くなる可能性が高いからです。
また、パソコンのソフト要件は次の通り。
- Windows 7以降(Windows 10ももちろん対応)
- Microsoft Office(ちなみにフリーの「LibreOffice」でも代用可)
予算にもよるけど,
オフィススイートを無料の「LibreOffice」にしておけばもうちょっと安上がり。
なお、Win書庫V4の構築にはインターネット環境が必須です。図書室の蔵書登録の際、IIS-NDLサーバー(国会国立図書館・国会図書館サーチ)などから図書のデータを引っ張ってくることが可能で、これを使うと蔵書登録が1冊あたり10秒前後でできます。
加えて、ウイルス対策ソフトのインストールも必須でしょう。
バーコードリーダー
公式マニュアルによれば、バーコードリーダーの要件は「キーボードインターフェイス・タッチ式」と書いてありますが、よほどバーコードリーダーに詳しくない限り、これがどういう要件なのか、さっぱり分からないという方も多いでしょう。
なので「正直よく分からない」と思った人は以下のバーコードリーダーを用意すれば問題ありません。
バーコードリーダーは機能によって価格もピンキリですが、上記は大体3500円と手頃でバリバリ使えます。購入すると付属のマニュアルも付いていて、設定などはUSBケーブルをパソコンに繋げた状態でマニュアルの中にあるバーコードを読み取るだけなので、すごく楽です。
こういったバーコードリーダーは、いわゆる「セドリ」と呼ばれる分野で一般の人にも結構需要があるらしく、簡単に手に入ります。
プリンター
プリンターの要件は、公式マニュアルによれば
- A4対応
- レーザー推奨
とあります。
先ほど少し紹介した蔵書登録の際、プリンターでバーコードシールを作成し、最終的には図書に1冊ずつ貼り付けていくことになります。家庭にあるインクジェットプリンターを使ってしまうと、貼り付けの際に手で汚してしまったり、経年劣化によって印刷されたバーコードが消えてしまったりするので、インクジェットプリンターは絶対にオススメしません。
・・・という話になると、
「レーザープリンターを用意するのは高いんじゃ・・・?」
と思うかもしれないが、意外とそうでもありません。
例えば下記のレーザープリンターは、カラーですが、その辺で売っているインクジェットプリンタより圧倒的に安いです(その代わりインクカートリッジはちょっと高い)。
ちなみに上記のレーザープリンターはカラーなため17000円くらいしますが、モノクロでももちろん運用可。そちらの場合はもっと安くできます。
加えて、バーコード印刷にはラベルシートも必要なのでレーザープリンターとセットで購入することをオススメします。
ノーカットのラベルシールなので、切らなければならないという一手間が加わってしまいますが、1枚が小さいバーコードシールを印刷すると、初めからカットされたシールでは確率で印刷のズレが発生して無駄が生じてしまうのであまりお勧めできません。
バックアップ用ハードディスク
バックアップ用のハードディスクは外付けであれば正直なんでも良いです。また、システム構築の初期段階ではそもそもバックアップするデータがないのですぐに購入する必要は必ずしもありません。
おわりに: Win書庫V4によるシステム構築に必要な初期費用はかなり安い
この記事に関心がある人にとって、おそらく最初の難関はWin書庫V4によるシステム構築云々以前に管理職にシステム構築の意義の初期費用の予算について承認を得ることでしょう。
「システム構築」というとどうしても言葉が硬くなってしまいますが、Win書庫V4それ自体が0円のフリーソフトであるのに加え、他の費用も実は思った以上にはかかりません。パソコンやプリンタ、ネット環境などは。すでに代用可能なものがあればそれを回して使えば良いだけのことですから、最低限購入しなければならないのはバーコードリーダーくらいでしょう。
この記事がこれから学校図書館をデータベース化しようとする司書教諭や学校司書の方の役に立てば幸いです。